広告管理画面上のコンバージョン数とGoogleアナリティクスのコンバージョン数が異なる理由と対策

はじめに

本ページは、Google広告やFacebook広告の管理画面上でのコンバージョン数が、Googleアナリティクスのコンバージョン数と異なる原因と対策を解説します。この記事を通じて、今後マーケターの皆さまが、正しい数値を見ながら迷いなく運用を最適化され、広告の成果を最大化できることをゴールにしています。

広告媒体管理画面とGoogleアナリティクスのコンバージョン数が異なる理由

01 広告媒体の管理画面上のコンバージョンに媒体間の重複が発生している

ユーザーはオーガニック検索、リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告など、様々なメディアを経由してコンバージョンに至ることがあります。

広告媒体の管理画面上のコンバージョンを正として集計していると、ユーザーが複数の広告媒体の広告をクリックしてコンバージョンに至った場合、コンバージョンに至るまでに接触した全ての広告媒体の管理画面レポートにそれぞれコンバージョンがカウントされてしまい、正しく計測することができません。

一方、Googleアナリティクスでは、コンバージョンの直前に接触した広告を評価するラストクリックモデルでコンバージョンを計測するため、実際のコンバージョンと同じ値になります。

(図1:広告管理画面コンバージョンとGoogleアナリティクスのコンバージョン計測の違い)

02 広告媒体の管理画面上のコンバージョンにビュースルーコンバージョンが含まれている

これはFacebook広告においてですが、管理画面のコンバージョンの定義(名称はコンバージョンウィンドウ)が、デフォルトで「クリックから7日間または表示から1日間」に設定されています。

この設定が何を意味するかを説明すると、Facebookユーザーが表示されたFacebook広告をクリックせずに、その広告を見て24時間以内にウェブサイトにアクセスしてコンバージョンした場合でも、FacebookはそのコンバージョンをFacebook広告のコンバージョンとして評価するということになります。また、Facebookはクリックしてコンバージョンしたものと、表示だけされてコンバージョンした2種類のコンバージョンを区別しておらず、Facebook広告の管理画面上でそれぞれのコンバージョン数を個別に確認することはできません。

一方、Googleアナリティクスは、この場合、Facebookユーザーが表示されたFacebook広告をクリックして、ウェブサイトにアクセスしコンバージョンしたもののみをFacebook広告のコンバージョンとして評価します。

03 広告媒体管理画面とGoogleアナリティクスはコンバージョンを計上する日時が異なる

広告媒体の管理画面上のコンバージョンは、ユーザーが広告をクリック(または表示)した日時に計上されます。コンバージョンが完了した時間ではありません。

例えば、10/30にある広告をクリックし、11/2にコンバージョンした場合、広告媒体の管理画面上のコンバージョンは10/30に計上されます。一方、Googleアナリティクスでは11/2に計上されます。

04 広告媒体管理画面とGoogleアナリティクスのコンバージョンのカウント方法が異なる

1 人のユーザーが、同じフォームを、入力内容の変更やリロードなど複数回送信することがあります。広告管理画面では、これを1回のコンバージョンとカウントするか、複数のコンバージョンとカウントするかを選択することができます。

一方、Googleアナリティクスでは、1人のユーザーが同じフォームを複数回送信しても、自動で処理され1回のコンバージョンとして計測されます。

例として、Google広告でのカウント方法のデフォルト設定を紹介します。これは少し雑に言うと、コンバージョンをGoogle広告タグで計測している多くのケースで、1人のユーザーが同じフォームを複数回送信した場合、その複数回すべてがコンバージョンとして計測される設定になっています。

注: カウント方法のデフォルト設定
カウント方法を選択しない場合は、デフォルトのカウント設定が自動的に使われます。デフォルトのカウント方法はコンバージョンの発生元によって異なり、その種のコンバージョンで使われることの多いカウント方法が採用されます。
すべてのコンバージョン: このカウント方法がデフォルトで使われるのは、ウェブサイト、アプリ内ユーザー行動、アナリティクス トランザクション、モバイルサイト上の電話番号のクリック、インポートの各種コンバージョン アクションです。
1 回のコンバージョン: このカウント方法がデフォルトで使われるのは、広告経由の電話問い合わせ、アナリティクスの目標、ウェブサイト上の電話番号への問い合わせ、アプリ インストールの各種コンバージョン アクションです。なお、アプリ インストールのカウント方法は変更できません。なぜなら、1 回の広告クリック経由で複数回のインストールが発生しても、ビジネス上の価値は増えないためです。

Google広告 ヘルプ

05 広告媒体管理画面とGoogleアナリティクスのコンバージョンの成果地点が異なる

これは初歩的な話ですが、例えば、資料請求と問い合わせなど複数の成果地点をコンバージョンとして計測している場合、Googleアナリティクスでは両方をコンバージョンとして計測しているのに、広告管理画面では片方しか計測できていないといったケースもあります。

06 Googleアナリティクスの設定に漏れがあり流入経路(参照元/メディア)が上書きされている

ユーザーがコンバージョンするまでの間に、外部の決済ページやECの場合はカートASPのページを経由してコンバージョンに至ることがあります。

例えば、ユーザーがGoogle広告をクリックして商品を購入する際に、アマゾン決済を選択した場合、購入ステップの中で一旦アマゾン決済の外部の決済ページを経由します。そしてこの決済ページを参照元除外の設定をしていなければ、流入元が本来のGoogle広告からアマゾン決済(apac.account.amazon.com)に上書きされてしまいます。

この作業方法はこちらのページにまとめています。作業自体は非常に簡単で3分もあれば完了する内容なので、一度ご確認ください。

これらの問題に対する対策と計測のベストプラクティス

これらの計測の問題は後回しにされがちですが、広告の成果を出し続けているマーケティング組織であればあるほど、広告の出稿金額が一定規模になり乖離幅が無視できないレベル(月間広告費300万円程度)になる前に、これらの問題に対してしっかりとした対策を講じています。

ここからは、そういったマーケティング組織の方々の対策方法のベストプラクティスをご紹介します。

01 計測の目的によって指標を使い分ける

まず大前提ですが、広告媒体の管理画面上のコンバージョン数とGoogleアナリティクスのコンバージョン数をどうにかして一致させようとする方向性は悪手です。理由は前述の通り、各社様々なコンバージョンの定義を持っており、その全てを一致させようとするのは現実的に実現不可能だからです。(尚、Google広告のみGoogleアナリティクスの目標をインポートすることで実現可能です)

そこで推奨されるのが、目的に応じて指標を使い分ける方法です。広告効果測定の目的としては、投資対効果を正確に把握することと、日々の運用を最適化するという大きく二つの目的があると思いますので、具体的な使い分けについてご説明します。

02 広告の投資対効果を正確に把握するのはGoogleアナリティクス

ここはもう説明不要かもしれませんが、広告の成果を広告媒体の管理画面上のコンバージョンを正として集計してしまうと、実際のコンバージョンより遥かに多いコンバージョンを広告の成果として計上することになります。

これは笑えない笑い話ですが、時にオーガニック検索やメールなど広告経由以外も含めたWEB全体のコンバージョン数が500件なのに、広告媒体の管理画面上のコンバージョンを全て足し合わせると800件になってしまったということも実際にあるので、広告の成果は必ずGoogleアナリティクスで計測するようにしましょう。

03 日々の運用を最適化するのは広告媒体の管理画面数値

あるべき姿から言うと、Googleアナリティクスの正確なコンバージョンを元に日々の運用も最適化するのがもちろんベストなのですが、計測の仕組みが整ってない場合は、広告媒体の管理画面上のコンバージョンを使うことを推奨しています。

理由は、計測の仕組みがない場合、人力で集計していると膨大な時間がかかり、結果として最も重要な最適化に手が回らず、広告の成果が改善されないのでは本末転倒だからです。一方、広告媒体の管理画面上の数値を使う場合は、実際のコンバージョンとの差異をきちんと認識した上で、入札金額などを設定するように注意が必要です。

最後に

弊社では、運用型広告の広告効果測定システムを提供しています。あらゆる広告データを自動で収集しGoogleアナリティクスに取り込み、Googleデータポータルのダッシュボードで可視化することで、広告の成果がリアルタイムかつ全自動で確認できるため、運用担当者が改善アクションに集中し、また超高速PDCAが可能になることで広告効果が最大化されます。

(実際のダッシュボードサンプル)