無料のGoogleアナリティクスでできるアトリビューション分析
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はじめに
アトリビューション分析という言葉は聞いたことはあるが、専用ツールや手間のかかる事前準備が必要で導入するハードルが高かったため、実際にアトリビューション分析を実施されている方々はそんなに多くないのではないでしょうか?本ページでは、マーケターの方々が普段利用している無料のGoogleアナリティクスを使って手軽に始められるアトリビューション分析の方法をご紹介します。
1. アトリビューション分析とは
Googleは、アトリビューションを以下のように定義しています。
コンバージョン経路の各接点に販売やコンバージョンに対する貢献度を割り当てるプロセスです。アトリビューションを使用すると、販売やコンバージョンに対する各チャネルの貢献度を定量化できます。たとえば、ユーザーの多くは、サイトで商品を購入する前に、Googleでブランドを検索している可能性があります。しかし、そのブランドを知ったのは、ディスプレイ広告やブログかもしれません。アトリビューションを使用すれば、販売に貢献した可能性のある数多くのマーケティングチャネルの中から、金銭的貢献度を適切に割り当てることができます。
アナリティクスヘルプ
具体的な例を用いて説明すると、あるユーザーが以下の図のように4/1に初めてサイトに訪れ、その後数回のアクセスを経て最終的に4/8に特定の商品を購入した場合、現在多くのマーケターの方々が使っているラストクリックモデルでは購入の直前の検索広告に100%の貢献度を割り当てます。
しかし、このケースではディスプレイ広告を配信していないと、4/3の自然検索からのクリックも4/8の検索広告からのクリックもおそらく発生せず、ディスプレイ広告を評価しないのはさすがに問題があると感じられるのではないでしょうか?こういった課題に対応する形で、アトリビューション分析は購入の直前の経路だけでなく、認知や興味づけに貢献したその前の経路もきちんと評価しようとする分析手法です。
2. アトリビューション分析が重要視される理由
それではアトリビューション分析の概念は古くから存在するのに、何故ここにきてアトリビューション分析の重要性が叫ばれているのでしょうか?その答えはユーザーが商品やサービスを購入するまでの接点が複雑化しているという変化に起因します。この複雑化を起こしている要因は、大きく分けて2つあります。
・商品やサービスの選択肢が爆発的に増加
複雑化している要因の1つめは、モノやサービスが溢れユーザー側の選択肢が増えたことが挙げられます。これにより、ユーザーの比較検討のニーズが高まり、ユーザーは沢山の情報(企業の広告や他ユーザーの口コミなど)を集めてから購入するようになりました。以前のように広告を一回クリックしただけで、何の検討もすることなく、そのまま購入してくれるユーザーはどんどん少なくなっています。
・スマホによりユーザー行動が細切れに
複雑化している要因の2つめは、より重要なポイントですが、スマホの普及によりユーザーがいつでもどこでも情報を得ることができるようになったことが挙げられます。この変化により、ユーザーのアクセスがどんどん細切れになっています。パソコンが主流だった時代とは違い、モバイル時代のユーザーは1回数分間のアクセスを何度も細切れで行いながら購入するようになりました。
まとめると上記の図のようになりますが、アトリビューション分析が大事になっている背景には、ユーザーがある商品やサービスを購入するまでに接触する接点が1つではなくどんどん増えていること、それによりマーケターはどの接点が購入に最も寄与しているのかを正しく把握する必要性が生まれています。
3. Googleアナリティクスでできること
・マルチチャネルレポートでカスタマージャーニーの現状を知る
MA(マーケティングオートメーション)ツールの普及もあり、自社のカスタマージャーニー(購入に至るまでのプロセス)を定義しているマーケターの方々も多いと思いますが、そもそも今コンバージョンしているユーザーがどんな順番でどんな経路を辿ってコンバージョンに至っているのかを調べることができます。
STEP1:大枠のデフォルトチャネルで把握する
まずは大枠を掴むために、細かい経路をグループ化した大枠のデフォルトチャネル(例えば、自然検索やディスプレイ広告、メールなどの粒度)で全体感を把握することができます。下記のレポートでは、期間中にコンバージョンしたユーザーのうち、自然検索(Oraganic Search)とリファラー(Referral)経由でそれぞれ1回ずつアクセスしてコンバージョンしたユーザーが最も多く、そういったユーザーからのコンバージョンが99件あるということが分かります。
STEP2:細部の経路を深掘りする
大枠を掴んだら、細部の集客経路(例えばGoogleの自然検索、Google広告などの粒度)を調べることもできます。下記のレポートでは、期間中にコンバージョンしたユーザーのうち、Google広告(google/cpc)とGoogleの自然検索(google/organic)にそれぞれ1回ずつアクセスしてコンバージョンしたユーザーが最も多く、そういったユーザーからのコンバージョンが71件あるということが分かります。
STEP3:さらに詳細の深掘りも
ここからセカンダリディメンションを使えば、例えばGoogle広告の中でもどのキャンペーンやどのキーワードが貢献しているかなどの深掘りも可能です。また、右上の検索窓で特定の集客経路のみに絞り込み、対象の集客経路がコンバージョンのどの部分に貢献しているのかを調べることも可能です。
・モデル比較ツールで広告の費用対効果をラストクリック以外のモデルで調べる
これまでのレポートで、例えばディスプレイ広告はラストクリックへの貢献は少ないが、認知には貢献していることが分かった場合、実務レベルにどう落とし込めばよいでしょうか?この実現手段も無料のGoogleアナリティクスに標準で用意されています。
モデル比較ツールを使えば、ラストクリックだけでなく様々なアトリビューションモデルを使って各経路の貢献度(CPAやROASの費用対効果)をGoogleが自動計算します。
下記のレポートでは、項番7の“google / cpc AW – Dynamic Search Ads Whole Site”は、最後の間接クリック(通称ラストクリック)でみると380件/CPA$1.28ですが、起点(通称ファーストクリック)のコンバージョンは+33%程度増加し506件/CPA$0.96と認知に大きく寄与しており、ラストクリックだけで判断すると新規リーチに大きく貢献している経路を削ってしまうリスクがお分かりいただけるかと思います。
最後に
インハウスプラスの運用型広告効果測定システムは、リスティング広告やSNS広告、アフィリエイト広告など、あらゆる広告データを自動でご利用中のGoogleアナリティクスに取り込むことで、各広告のコンバージョンや費用、CPAなどのパフォーマンスを一つのダッシュボードでリアルタイムに確認することを可能にします。もちろん、サンプルレポートのようにモデル比較ツールに費用やCPAを表示させることもできますので、Googleアナリティクスを使った広告効果測定システムをご検討の方はぜひご利用ください。
DeNAのデジタルマーケティング責任者として年間450億円を超えるECプラットフォームのマーケティングを担当。2014年に独立し、上場企業から資金調達後のスタートアップまで様々な企業のデジタルマーケティングのプロジェクトに関わり見識を広げた後、2018年3月に株式会社CALLOSUMを創業。