Looker Studioで使うBigQueryの料金を削減する方法を詳しく解説
BigQueryには無料の利用枠があり、かつ使用量に応じた料金体系になっているのでとても使いやすいデータウェアハウスです。ただ継続して利用しているうちに料金が増えていくこともあります。BigQueryの料金が何で発生しているかを正しく把握することで料金を大きく削減することもできます。
この記事では、実際に弊社が行ったBigQueryの料金を大きく削減した方法を詳しく解説します。
Contents
概要と削減効果の紹介
まず今回行った対応の流れと料金削減効果を紹介します。
BigQueryの料金を削減するためにまずどのLooker Studioのレポートでどれくらい料金が発生しているかを把握し、BigQueryの料金体系を踏まえて削減できる方法を検討しました。
多く料金が発生している特定のLooker Studioのレポートにおいて、レポートを開いたり操作したりするたびにBIgQueryのデータの集計・計算が発生するビュー形式でデータソースを作成していました。それをすでに集計・計算済みのテーブル形式のデータソースに変更するようにしました。
結果として、以下の画像のようにそのレポートで発生していた料金を大きく削減することができました。

BigQueryの料金
BigQueryの料金体系をシンプルに説明すると以下の2種類の料金があります。
- ストレージ料金
- クエリ料金
ストレージ料金とはBigQueryに保存したデータの量によって発生する料金です。クエリ料金には利用に応じて料金が発生するオンデマンド料金と事前に容量を購入する定額料金があります。定額料金は比較的大規模な利用をしている場合になるため、今回はオンデマンド料金を対象にします。それぞれの料金は以下のようになっています。
種類 | 料金 |
---|---|
ストレージ料金 | GiBにつき毎月$0.01〜$0.04 |
クエリ料金 | TiBにつき$6.25 |
ストレージ料金はテーブルが直近で更新されているかどうかで料金が変わります。長期に更新されていないデータほど安くなるようになっています。
公式ドキュメント:BigQuery の料金
今回はこのクエリ料金を削減していきます。
レポート別の料金を把握する方法
まずは利用しているLooker Studioのどのレポートでどれくらい料金が発生しているかを把握します。
課金データをエクスポートする
BigQueryの課金データをBigQuery上に簡単にエクスポートすることができます。その手順を紹介します。Google Cloud Consoleを開き課金メニュー選択します。

続いて課金データのエクスポートを選択します。

次の画面の設定を編集をクリックします。


ステータスが有効になり、設定が完了しました。

これでデータのエクスポートが開始されますが過去データはエクスポートされず、設定した後のデータがエクスポートされていきます。
クエリを実行してレポートIDごとの料金を可視化する
これで課金データがエクスポートできたのでそのデータを分析し、どのレポートでいくら請求が発生しているかを確認していきます。以下のクエリを実行することで日別、レポート別の料金を出すことができます。
SELECT
DATE(usage_start_time) AS usage_date,
l.value,
SUM(cost) AS costs
FROM
`エクスポートで作成されたテーブルIDを指定`,
UNNEST(`エクスポートで作成されたテーブルIDを指定`.labels) AS l
WHERE
l.key = 'looker_studio_report_id'
AND usage_start_time >= TIMESTAMP('2024-12-01 00:00:00')
AND usage_start_time < TIMESTAMP('2025-01-21 23:59:59')
GROUP BY
usage_date, l.value
ORDER BY
usage_date ASC, costs DESC
‘エクスポートで作成されたテーブルIDを指定’には実際にエクスポートされたテーブルIDを入れてください。また期間は2024年12月1日から2025年1月21日となっているので希望する期間に修正してクエリを実行してみてください。

このようにクエリ結果が表示されるので、後で使いやすいように結果を保存からGoogleスプレッドシートなどに保存しましょう。
クエリ結果のvalue列に表示されている文字列がLooker StudioのレポートIDになっています。この状態ではどのレポートかはわからないので実際にレポートを表示してどのレポートかを特定します。
Looker StudioのレポートURLは
https://lookerstudio.google.com/u/0/reporting/'レポートID'
の構成になっています。そのためレポートIDが’aaaaaa’であれば
https://lookerstudio.google.com/u/0/reporting/aaaaaa
のURLを開くとレポートID’aaaaaa’のLooker Studioのレポートが表示されます。これでいつどのレポートでどのくらい料金が発生しているかを把握することができました。
ビューとテーブルの違い
今回はLooker StudioのレポートがBigQueryのビューをデータソースとして利用していることが前提になるためビューとテーブルの違いを説明します。
ビューはSQLクエリによって定義される仮想テーブルであり、ビューを参照することで都度SQLクエリが実行されデータが抽出されます。テーブルは都度計算されるものでなく実際のデータが格納されています。
Looker Studioのレポートを複数人で1日に何度も利用するシーンではビューを参照している場合は都度SQLクエリが実行されることになります。一方テーブルを参照する場合はすでに存在するテーブルを参照するのでSQLクエリが都度実行されることはありません。ビューに比べてテーブルではSQL実行回数を減らすことができるため、料金が削減できます。
ビューとテーブルの見分け方
実際に今使っているデータソースがビューかテーブルかわからない時は該当のデータをBigQueryで見てみましょう。テーブルとビューは以下のようにアイコンで見分けることができます。

Looker Studioのレポートがビューを参照していることを前提としてどのレポートに料金がかかっていてどのビューを参照しているかをここまでで特定することができました。
続いてテーブルを作成してレポートが参照するデータをテーブルに切り替える方法を解説します。
テーブルを作成する
テーブルはビューに設定されたクエリを実行することで作成されます。
また元となるデータが都度アップデートされる場合は、ビューでは都度SQLが実行されるためアップデートされたデータも含めて結果をデータに反映できますがテーブルは作成時点までのデータしか反映されません。
そのため元データの更新にあわせてテーブルも都度作成して上書き更新をするようにします。まずはテーブルを作成するクエリをコピーします。該当のビューを選択し、詳細の一番下にビューのクエリがあるのでコピーします。

スケジュールされたクエリを実行してテーブルを定期的に更新する
コピーしたクエリを定期的に実行してテーブルを作成するようにします。左側のメニューからスケジュールされたクエリを選択し、スケジュールを作成します。

コピーしたクエリを貼り付けスケジュールを選択します。

スケジュールの設定画面が表示されるのでどの頻度でクエリを実行するか、実行した結果のデータをどのテーブルに保存するかを指定して保存します。

これでテーブルを作成することができました。最後にLooker Studioのデータソースの接続先を変更します。
データソースの接続先を変更する
Looker Studioを開き接続先を変更したいデータソースを開きます。

左上の接続を編集を選択します。

接続先が表示されるので、現在ビューに接続されているものを先ほど作成してテーブルに変更し再接続をクリックします。

これで接続先をビューからテーブルに変更することができました。実際に料金が削減できたかはレポート別の料金を把握するクエリを実行し確認できます。
BigQueryを多く使うほどにオンデマンド料金が増えていくので、Looker Studioのレポートの利用状況にあわせて費用の削減を試してみてください。
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DeNAのデジタルマーケティング責任者として年間450億円を超えるECプラットフォームのマーケティングを担当。2014年に独立し、上場企業から資金調達後のスタートアップまでさまざまな企業のデジタルマーケティングのプロジェクトに関わり見識を広げた後、2018年3月に株式会社CALLOSUMを創業。